広島高等裁判所岡山支部 昭和26年(う)243号 判決
論旨は原判決は被告人は………誕生寺駅前より同駅改札口迄の間粳玄米三十瓩を携帯輸送したと認定処断しているが、判示の米は丸山某女のもので被告人は同女の依頼を受け携帯乗車しようとしているところを捕えられたので全然輸送の事実はないというにある。
よつて按ずるに所論は輸送の意義を汽車汽船自動車等輸送機関による輸送のみに限定して解釈しているようであるが、食糧管理法施行規則が主要食糧の輸送を禁止したのは食糧管理法、同法施行令の主要食糧の移動制限の規定に基くものであつて其の制定の趣旨は食糧の需給事情に鑑み食糧管理強化方策の一環として正規の経路に依らない米麦等の移動は原則として之を禁止し闇売買、横流し等による食糧配給方面の混乱を防止すると共に米麦等の供出量の確保を期する為めであるからその移動が輸送機関による大掛りな輸送行為を制限するばかりでなく一切の移動を禁止するものと解すべきである。それ故未だ乗車以前であつたとしても誕生寺駅前より同駅改札口まで移動した被告人の所為を輸送なりと認定した原判決は正当であつて論旨は理由がない。
(本件は量刑不当により破棄自判)